社内起業した話(元施工スタッフ)

 

「断熱リフォームの匠」は業界でも注目され、お問合せに対応できないほどの人気になりました。

じつは断熱事業は施工スタッフ出身の私、野田が新規事業として始めたものです。
当然、新規事業のノウハウや経験もなく苦労の連続でした。

テオリアに興味を持っていただいた方のために、これまでの道のりを公開します。

 

1.退職する社員の言葉で決意

「結局、シロアリだけですよね。辞めます。」

12年前、千葉営業所から本社に赴任して間もなくでしたが、ある社員から退職の申し出があったのです。

聞くと彼は会社の発展に期待をもって入社したそうです。
それは採用の時に新たな事業展開や未来の社長になれる可能性をイメージしたようですが、そうなる希望が感じられないから退職したいとのことでした。

私は返す言葉がありませんでした。

創業から40年間シロアリ事業一筋、積水ハウスなどの大口顧客に安心しきって古い体質のまま、業績も今とは違って余裕がなかったのです。
私が本社に来たのも、その状況を変えるためでした。

実際に新規事業に着手できたのはその数年後です。
その間も彼の言葉をずっと引きずっていました。

私はそれまでのトップダウンの古い体質を変えようと、社員一人ひとりが主体的に働く楽しさを伝え続けました。
すると若手が育ち、みんなの頑張りによって業績が向上したお陰で、新規事業に着手することが出来る環境が整ったのです。

とはいえ、何をやろうか。
私は新規事業なんて経験もなければ教えてくれる人もいません。

「やるからには社会的意義のある仕事がしたい」

社員がやりがいを持てなくては新規事業をやる意味がありません。
しばらく何をするか悩みましたが、グループ会社で行っていた断熱事業に目をつけました。

私自身、5,000棟もの住宅のシロアリ調査や施工をしてきた経験から、床下の断熱材が垂れ下がったり、そもそも取付されていない日本の住宅を問題視していました。
知識が無いながらも床下調査のついでに垂れた断熱材を戻して、お客様に大変喜ばれたこともあります。

また、当時は浴室で亡くなる方が社会問題として採り上げられていました。
寒い脱衣所や浴室から熱い浴槽に入り、急激な血圧の変化によってヒートショックを引き起こすのです。
日本の住宅は正しい断熱がされていないことが大きな要因です。

もともと個人的に問題視していたことや社会的課題に、我々が貢献できる大変やりがいのある仕事だと思ったのです。

 

2.売れない日々の始まり

さっそく長野県にあるグループ会社のランバーテックにお願いして、作業方法を見せてもらいました。
ランバーテックで行っている断熱施工はセルロースファイバーという断熱材を使用しています。
さまざまな断熱材の中でも性能に優れたものである反面、都内で行うにはいろいろと課題が見つかりました。
それらの対応策の検討も含め、施工担当に任命した彼に長野で数週間、泊まり込みで技術の習得に励んでもらったのです。
(その彼は新卒入社でシロアリ事業から断熱事業へ異動し、現在はテオリア全体のwebサイトを管理するまで成長してくれました。)

その後は自社保有の研修所を使って他の社員たちと技術力に磨きをかけました。
慣れない作業に苦労しましたが、ランバーテックが技術を惜しみなく教えてくれたのと、研修用に戸建住宅を保有していたことは我々にとってラッキーでした。

そして、いよいよリフォーム会社に断熱施工を提案したのですが、思いのほか好感触だったのです。
リフォーム会社も売上が頭打ちで、新しい商材を探していたようでした。

ただし、実はここからが困難の始まりでした。

1.「とにかく安く」と言われる
車両や機材の購入、知識や技術の習得には大変な投資をしましたが、材料と人工のコストだけでしか評価してくれません。
私たちも施工実績が欲しかったので、安い条件を仕方なくのみました。

2.毎回の調査報告書の提出を求められる
断熱の要望がないお客様であっても、報告書をとりあえず作るように言われました。当然、お客様は見てくれません。

3.部分断熱プラン(一部屋だけ)の作成を要求される
仮にトイレだけを断熱すると言っても、機材の持ち込みや人員は大きくは変わりません。それなのにもらえる費用はわずかです。
なにより、部分断熱はデメリットもある商品なので提案も気が引けました。

もちろんリフォーム会社側の都合も理解できたので、受け入れを決めたのは自分たちです。

しかし、本当は社員がやりがいを感じ、困っているお客様に喜ばれる事業にしたい。
理想とは真逆の状態をメンバーに強いる、申し訳ない日々が始まりました。

そして何が起こったか。

さまざまな条件をのんだにもかかわらず、どのリフォーム会社も全く売れなかったのです。

 

 

3.嫌気がさして営業が退職

売れなかった理由を語る前に、自分たちで直接販売しようとホームページを作った話をさせてください。

社内改革の一環として、私はコーポレートブランディングを行っていたのですが、断熱事業のWebサイトも制作したのです。
デザイン会社のオシャレなサイトに仕上がりましたが、こちらも売上は厳しい状況でした。
じつは「断熱リフォームの匠」とは違うネーミングで過去に失敗しているのです。

売れない共通の理由は断熱が「特殊な商品」だったからです。

断熱は幅広い知識が必要です。
・断熱材の種類や関連商品
・それぞれの特徴、効果
・構造に応じた施工方法
・国や自治体ごとの補助金申請の方法
などなど

リフォーム会社の営業マンがこれらをお客様に説明できないのです。
また、自分たちもWebサイトで断熱工事をどう売ったらいいのかわかりませんでした。

打開策が見つからないまま、その後も売れない日々が続きました。
あいかわらずリフォーム会社からの無理難題や無料調査だけは続きます。

そんな状況に嫌気がさして、とうとう唯一の営業の彼が辞めたいと言ってきたのです。

そもそもは社員のために始めた新規事業です。
残念でしたが彼の意見を尊重しました。

それでも断熱事業の撤退は考えませんでした。
この頃には、お客様の感謝の言葉によって断熱リフォームが素晴らしい事業だと確信できていたからです。
また、社員にチャレンジする会社の姿勢を見せるのも大きな理由でした。

 

 

4.怒鳴られて覚悟

ここからまた、仕切り直しです。

いずれにしてもリフォーム会社をあてにするのはやめようと思っていました。
ご理解もなしに売りつけるのは、お客様のためになっていないからです。
仮に売れたとしても、利益がなければ社員の幸せもありません。
それに社員がリフォーム会社に無理難題を言われ理不尽に怒鳴られることもあって許せなかった。
ビジネスだからと割り切って考えることができない自分の性格が覚悟を決めた出来事でした。
綺麗ごとかもしれませんが、自分の子供だったら誰でもそうすると思うんです。

お客様にとっても、社員にとっても幸せな事業にしたい。
「もう頼るのはやめて、自分たちで頑張ろう。」

それからは徹底的にWebサイトの見直しを行いました。
あらためてお客様視点で考えることを行い、どのような要望があるのかを議論したのです。
これまでのお客様からの意見や感想が役に立ちました。

そして出来上がったのが「断熱リフォームの匠」です。

真剣にお客様のことを考え、事業に対する我々の想いを込めてつくりました。

自分たちの強みは床下に入って断熱施工できること。
住んだまま短い工期でできるからお年寄りやお子さんのいる家庭でも安心。
その上、コストも抑えることができます。
さらに二重窓や補助金申請にもお応えしました。

その結果、多くのお客様から共感いただき現在の人気に至りました。
また、これまでの苦労が報われたと同時に、気づけば社内の風土もすっかり変わり、若手の採用や育成についても取材や相談を受けるまでに会社は成長したのです。

我々の断熱事業への想いは以下の通りです。

ビジョン:断熱リフォームのパイオニアになる
ミッション:日本中の住宅を快適で安全にする

まだまだ遠く及ばない想いですが、事業に関わるメンバー達は本気です。
諦めずについてきてくれた仲間に、この場を借りて感謝します。
私たちの想いに賛同してくれるお客様の存在を励みに、これからも一歩ずつ進んでいきましょう。

最後までありがとうございました。
経営企画部 野田

 

 

【断熱リフォームの匠は一緒に働く仲間を募集します】
断熱は非常に人気な社会的意義のある成長事業です。ただしテオリアは無理な事業拡大は目指していません。「着実に丁寧に」私たちの想いに共感していただける方でしたら未経験でも大歓迎です。成長する事業に自分も関わってみたい方、ぜひご応募ください。お客様からの感謝の言葉を分かち合いましょう!

おすすめの記事